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Excelでの顧客管理の限界とCRM/SFA導入目安

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 IT企業・人材・コンサル・広告代理店を中心にHubSpotの初期構築・運用支援を行う株式会社グロースパイロットは、現在または直近1年以内にBtoB営業・マーケティング業務に従事し、顧客情報・商談情報の管理に関わっている198人を対象に、顧客・商談データ管理の実態調査を実施しました。このページに全設問の集計結果を掲載しています。

項目内容
調査名BtoB営業データ実態調査 第1回「顧客・商談データ管理の実態」
調査主体株式会社グロースパイロット
調査対象現在、または直近1年以内に企業で法人向け(BtoB)営業またはマーケティング業務に従事し、顧客情報・商談情報の管理に関わっている方
有効回答数198人
調査方法インターネット調査(Googleフォームによる自記式アンケート)
調査機関自社調査(回答者の募集はクラウドソーシングサービスを利用)
設問数27問(回答内容により表示される設問が変わる)

この調査で分かったこと

  1. Excel・スプレッドシートを主に使う106人のうち、トラブルも失注もなく顧客数2倍にも耐えられると答えたのは3人(2.8%)でした
  2. Excel管理の経験がある176人が挙げたトラブルは、1人あたり平均3.5個です。単独ではなく複合して起きています
  3. 営業4〜10名の企業44社では、情報を探す・転記する作業に1人あたり週1.97時間かかっています。営業10名なら約927時間、およそ0.5人分です
  4. 経験したトラブルが5個以上の層(43人、母数168人)では、CRM/SFAを導入した割合が半数に達します。4個までは2割強です。トラブルの項目の種別も、ファイル操作の不便から組織として数値進捗を把握できないものへ変わります
  5. CRM/SFAを導入した75人のうち74.6%(母数67人)が情報を探す速さは改善したと答えています。ただし入力の手間だけは19.4%が悪化したと答えました
  6. 属人化と管理作業の時間は、Excel主体(106人)とCRM/SFA主体(68人)でほとんど変わりませんでした
  7. Excel管理を続けている93人のうち約7割がCRM/SFAの必要性を感じていますが、導入を具体的に検討している人は0人でした

この結果から言えること

CRM/SFAを検討するタイミングの目安は、直面した課題の15項目のうち5個に達したあたりです。
同じ状態の組織の半数は、すでにCRMやSFAツールを導入していました。
また直面する課題はファイル操作の不便から、報告数字が実態とずれる、商談の進捗が見えない、退職で情報が消えるという問題になっていることからも、案件進捗数値などのデータの整合性およびリアルタイム性、正確性を重要視されるフェーズに差し掛かると検討する企業が増えると考えています。

ツールを導入する前に、いま起きている15項目のうちどれを解決したいのかを決めておく必要があります。
今回、外部の支援会社を使った企業(32人)で不満が「特にない」と答えたのは9.4%、自社のみで導入した企業(30人)では30.0%でした。
支援を入れれば自動的に解決するわけでもないということです。

自社の状態を把握するための15項目

以下の設問の中の5個以上に該当すると、同じ状態の組織の半数がすでにCRM/SFAを導入しています。
次の15項目のうち、自社にいくつ当てはまるかを数えてみてください。
今回の調査で実際に起きたこととして挙がったものです。

  • 誰かの上書き保存で、入力した内容が消えた
  • どれが最新版のファイルか分からなくなった
  • ファイルが重く、開くのに時間がかかった
  • 過去の商談履歴を探すのに時間がかかった
  • 数式やフィルタが壊れて、集計が合わなくなった
  • 入力ルールが人によってバラバラで、集計できなかった
  • フォロー漏れ・対応漏れが起きた
  • 同時に編集できず、他の人の作業終わりを待った
  • 商談の進捗が、担当者に聞かないと分からなかった
  • 会議のたびに、報告用資料へ手作業で転記していた
  • 担当者の退職・異動で、そのファイルの中身が分からなくなった
  • 同じ顧客に、別の担当者が重複してアプローチした
  • 経営層・上長への報告数字が、実態とずれていた
  • 顧客情報の入ったファイルを誤送信しそうになった、持ち出しが野放しだった
  • 特に問題は起きていない

該当した数を、Excel管理の経験がある176人と比較したデータがが下の表です。

該当数今回の回答者での位置同じ状態の人のうちCRM/SFAを導入済み
1〜2個平均(3.5個)より下24.2%
3〜4個平均的。3個以上が58.0%を占める22.0%
5〜6個上位24.4%に入る50.0%
7個以上上位13.1%に入る56.5%

トラブルが増えたから導入したという因果を示すものではありませんが、4個までと5個以上では導入済みの割合が2倍以上違います。

調査結果

顧客・商談情報の管理方法

BtoB営業・マーケティングの現場では、53.5%がExcel・スプレッドシートを主に使っています。

管理方法件数比率
現在、主にExcel・スプレッドシートで管理している10653.5%
現在はCRM/SFAで管理しているが、以前はExcel・スプレッドシート5527.8%
現在は紙・メール等で管理しているが、以前はExcel・スプレッドシート157.6%
現在はCRM/SFAで管理しており、Excel・スプレッドシートの経験はない136.6%
現在は紙・メール等で管理しており、Excel・スプレッドシートの経験はない73.5%
特に管理していない21.0%

Excel・スプレッドシートでの管理経験がある人は176人、全体の88.9%です。CRM/SFAを主に使っている人は68人、全体の34.3%です。

規模別に見ると、規模が大きいほどExcel主体の割合は下がりますが、従業員1,001名以上でも27.6%が該当しました。

規模nExcel主体率CRM/SFA導入率
1〜10名2075.0%15.0%
11〜50名4362.8%9.3%
51〜100名4158.5%39.0%
101〜300名4555.6%42.2%
301〜1,000名1936.8%63.2%
1,001名以上2927.6%69.0%

11〜50名と51〜100名の間で、CRM/SFAの導入率が9.3%から39.0%へ跳ね上がります。

Excel管理で実際に起きたこと

Excel管理の経験がある176人のうち、95.5%が何らかのトラブルを経験しています。

起きたこと件数比率
誰かの上書き保存で、入力した内容が消えた8347.2%
どれが最新版のファイルか分からなくなった7743.8%
ファイルが重く、開くのに時間がかかった6637.5%
過去の商談履歴を探すのに時間がかかった6034.1%
数式やフィルタが壊れて、集計が合わなくなった5430.7%
入力ルールがバラバラで、集計できなかった4927.8%
フォロー漏れ・対応漏れが起きた4022.7%
同時に編集できず、他の人の作業終わりを待った3821.6%
商談の進捗が、担当者に聞かないと分からなかった3318.8%
会議のたびに、報告用資料へ手作業で転記していた3117.6%
担当者の退職・異動で、中身が分からなくなった2815.9%
同じ顧客に、別の担当者が重複してアプローチした2212.5%
経営層・上長への報告数字が、実態とずれていた2011.4%
顧客情報の誤送信・持ち出しが野放しだった105.7%
特に問題は起きなかった84.5%

1人あたりの該当数は平均3.5個、中央値3個です。3個以上が58.0%、5個以上が24.4%を占めます。

管理にかかっている時間

顧客・商談情報を探す、転記する、報告用にまとめ直す作業に、回答者は週あたり平均2.04時間を使っています。

週あたりの時間件数比率
1〜2時間6130.8%
30分〜1時間3718.7%
2〜3時間3618.2%
3〜5時間3115.7%
ほとんど使っていない(30分未満)2512.6%
5〜10時間73.5%
10時間以上10.5%

そのうち本来やらなくてよい作業が占める割合は平均36.2%でした。営業4〜10名の企業44社では1人あたり週1.97時間、そのうち35.9%が本来やらなくてよい作業で、営業10名なら約927時間、1人あたりの年間労働時間を1,800時間とすればおよそ0.5人分にあたります。

時間は選択肢の中央値で換算した推計値です。年間換算は47週で計算しています。

将来の見通しと属人化

顧客数・商談数が2倍になったとき、56.1%がいまの管理方法では厳しい、または運用できないと答えています。

選択肢件数比率
かなり厳しい9347.0%
なんとか回せる7437.4%
回せない189.1%
問題なく回せる73.5%
分からない63.0%

問題なく運用できると答えたのは3.5%でした。表の選択肢は調査票の文言そのままです。

営業担当者が1人退職したときの影響は次のとおりです。

選択肢件数比率
大部分は残るが、一部は失われる10854.5%
すべて組織に残り、問題なく引き継げる4723.7%
半分程度は失われる2814.1%
ほとんどが失われる94.5%
分からない63.0%

何かしら失われると答えた人は73.2%です。

CRM/SFAを導入するタイミング

経験したトラブルが5個以上の層では、CRM/SFAを導入した割合が半数に達します。

経験したトラブルn導入済みExcelのまま
1〜2個6624.2%68.2%
3〜4個5922.0%64.4%
5〜6個2050.0%40.0%
7個以上2356.5%43.5%

5個という数字は、問題の数が増えたというだけではありません。トラブルの項目の種別が変わります。

まず、15項目を起きていることの中身で2つに分けました。
ファイルが重い、最新版が分からない、上書きで消えたといった、ファイルやデータの扱いで起きることが6項目。進捗が担当者に聞かないと分からない、報告数字が実態とずれる、退職で中身が分からなくなるといった、組織として数値進捗を把握できないことが8項目です。
「特に問題は起きなかった」はどちらにも属さないため除いています。

トラブルの15項目を中身で2つに分けると、増え方が異なっています。
ファイルやデータの扱いで起きることに関する6項目は、該当率の平均が28.9%から62.4%へ2.2倍になりました。
組織として数値進捗を把握できないことに関する8項目は、平均8.1%から44.2%へ5.5倍です。
該当個数そのものが3.05倍になる計算なので、ファイル側はそれ未満、組織側はその倍近く増えています。

項目1〜4個の層5個以上の層
経営層・上長への報告数字が、実態とずれていた4.0%34.9%
会議のたびに、報告用資料へ手作業で転記していた6.4%53.5%
顧客情報の誤送信・持ち出しが野放しだった2.4%16.3%
担当者の退職・異動で、中身が分からなくなった7.2%44.2%
商談の進捗が、担当者に聞かないと分からなかった9.6%48.8%
同じ顧客に、別の担当者が重複してアプローチした6.4%32.6%
フォロー漏れ・対応漏れが起きた12.8%55.8%
入力ルールがバラバラで、集計できなかった16.0%67.4%
過去の商談履歴を探すのに時間がかかった22.4%74.4%
どれが最新版のファイルか分からなくなった33.6%81.4%
数式やフィルタが壊れて、集計が合わなくなった24.0%55.8%
同時に編集できず、他の人の作業終わりを待った17.6%37.2%
ファイルが重く、開くのに時間がかかった32.8%58.1%
誰かの上書き保存で、入力した内容が消えた43.2%67.4%

該当個数が多い層はどの項目も増えます。
1〜4個の層は平均2.38個、5個以上の層は平均7.28個で、機械的に3.05倍になる計算です。
そこで各項目の比率をこの倍率で割った相対値を見ました。表の上から8項目は相対値が高く、5個以上の層に特徴的なものです。下の6項目は1〜4個の層でも同じように起きています。

1〜4個の層が挙げるのは、上書きで内容が消えた、ファイルが重い、最新版が分からないといったファイル操作の不便です。
5個以上の層では、報告数字が実態とずれた、報告用に手作業で転記していた、退職で中身が分からなくなった、商談の進捗が担当者に聞かないと分からなかった、という項目が相対的に増えます。
個人の作業が滞る段階から、組織として数値進捗を把握できなくなる段階に変わっています。

CRM/SFA導入後に変わったこと、変わらなかったこと

CRM/SFAを導入した75人では、8項目中7項目で改善が悪化を上回りました。特に情報を探す速さは74.6%が改善したと答えています。

項目n改善した悪化した
情報を探す速さ6774.6%4.5%
チーム内の情報共有6768.7%9.0%
引き継ぎのしやすさ6668.2%4.5%
報告作業の手間6558.5%4.6%
報告数字の正確さ6753.7%6.0%
フォロー漏れの少なさ6451.6%3.1%
案件の見通しの立てやすさ6448.4%4.7%
入力そのものの手間6734.3%19.4%

母数は各項目で「分からない」を除いた人数です。

一方で、導入しても変わらなかったものが2つあります。

 Excel主体(106人)CRM/SFA主体(68人)
1人退職で何かしら失われる71.7%73.5%
週あたりの管理・転記作業時間2.04時間2.01時間

属人化と作業時間は、導入しただけでは変わっていません。将来の見通しだけは、Excel主体61.3%に対しCRM/SFA主体48.5%と12.8ポイントの差がありました。

それでも、CRM/SFAを使っている75人のうち61.3%がExcel中心の管理には戻りたくないと答えています。戻りたいと答えたのは9.3%でした。

導入していない組織の状況

Excel・スプレッドシートを主に使い、CRM/SFAを導入していない93人のうち、導入を具体的に検討している人は0人でした。

検討状況件数比率
必要性は感じているが動けていない4447.3%
必要性を感じていない2931.2%
情報収集をしている2021.5%
具体的に検討している00.0%

必要性を感じている人が7割近くいる一方で、具体的に動いている人は1人もいませんでした。

当初の仮説のうち、データで証明できなかったこと

Excelでの営業管理にかかる人件費がCRM/SFAの費用を上回るという当初の仮説は、証明できませんでした。
調査を設計した時点では、管理作業の時間をExcel主体とCRM/SFA主体で比較すれば差が出るはずだと考えていました。
しかし結果としては仮説と大きく異なり、営業管理にかかる時間は、Excel主体の組織が週2.04時間、CRM/SFA主体が週2.01時間で、差は週0.03時間でした。
年間に換算しても1時間程度にしかなりません。

属人化についても同様で、1人退職したときに情報が失われる割合はExcel主体71.7%、CRM/SFA主体73.5%とほぼ同じでした。

CRM/SFAを導入することで改善するのは、情報を探す速さや共有、引き継ぎのしやすさです。作業時間そのものや属人化は、導入しただけでは変わりません。この結果は当社の想定と違いましたが、そのまま公開します。

調査結果についての考察(当社の見解)

当社代表・中山のコメントです。

弊社ではExcelやスプレッドシートでの営業管理やマーケティング管理を行っている企業様のHubSpotの導入や活用支援が全プロジェクトの7割を占めています。
プロジェクトの傾向からも何となく肌感で感じていたことが、今回の調査を通じて改めて確信に変わりました。

特にCRMツールの導入はあくまでも手段であり、業務の生産性向上や営業スキルの平準化、部門間連携などといった目的を達成するためには課題の棚卸とそれを解決するためのロードマップが描けているか、社内合意を得ているかという点が重要です。

また、CRMツールの導入検討タイミングは、弊社の支援現場での実感としては、マーケティングから営業への情報連携、マーケティング施策のROIの可視化、数値共有のための工数削減やデータの正確性、リアルタイム性といったExcelやスプレッドシート管理では限界がある部分が複合的に課題として認識されたタイミングであるということでした。

これは弊社にとっても学びであり、事業会社の営業部門、マーケティング部門の皆様にも是非ご参考いただきたいと思っております。

本調査の引用について

本調査の数値・図表は、出典を明記していただければ自由にご利用いただけます。

引用の際は、母数(n数)もあわせて記載してください。設問によって母数が異なります。