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SaaS企業がHubSpotで変えたインサイドセールスの仕組み

HubSpot

「問い合わせはある。でも、なぜか商談にならない」

東京に本社を置くとあるSaaS企業(従業員数65名)の実話です。

主力プロダクトは中堅製造業向けの在庫管理クラウドで、ここ数年でユーザー企業も順調に増えてきていました。

マーケティングチームはSEOやウェビナー施策を強化し、月間のリード獲得数は1年前の2倍近くに増えていた。数字だけ見れば順調。
しかし営業部長の桐島さんは、ある違和感をずっと抱えていました。

「リードは増えているのに、商談の数が全然KPIに対して未達の状態なんです。
マーケから渡されたリストに電話しても「検討していません」と言われたり、そもそも担当者が変わっていたり。
フォローしきれずに埋もれているリードが、どれくらいあるんだろうと思って」と初回の商談で教えていただきました。

インサイドセールスを立ち上げてはいたものの、実態はスプレッドシートと個人の記憶に頼った属人的な運用になっており、リードへのアプローチ履歴がチームで共有されず、同じ見込み客に複数人から連絡が行くこともあった。

スプレッドシートの限界と、マーケ・営業の断絶

この企業様が抱えていた課題は、大きく3つに整理できました。

1つ目はリードの質が見えないということ。
マーケティングが獲得したリードは、資料請求・ウェビナー参加・ホワイトペーパーDLなど複数のCVポイントがあったが、それぞれ別々のフォーム作成ツールで作成されたフォームで管理されており、どのリードが”今すぐ”の温度感なのかを判断する基準がありませんでした。
インサイドセールスは全員に均一にアプローチするしかなく、非常に非効率なアプローチになっていました。

2つ目はアプローチ履歴の不透明さ。
「先週、別の担当者が電話していた」という重複フォローが月に数件発生していました。
見込み客からすれば不信感にもつながりかねない状況でした。

3つ目はナーチャリングの仕組みがないこと。
「今は検討していない」と言われたリードは、そのままスプレッドシートのセルに入力されたままで追客するための仕組みはなく個人の記憶頼り。
半年後に再浮上してくるリードがいても、それをすくい上げる手段がありませんでした。
思い出したり気づいたときにすぐ連絡をしても、既にほかで検討が進んでいたりと商談機械の創出を戦略的にできていませんでした。

「マーケと営業をつなぐ一元管理」を求めてHubSpotの導入を決定

桐島さんが動き出したのは、四半期ごとのレビューで「獲得リード数は増加しているにもかかわらず、商談化率が前年比で低下している」というレポートが経営陣に提示されたタイミングでした。

複数のCRMツールを比較検討した結果、最終的にHubSpotを選んだ理由は明確で、「マーケティングと営業が同じプラットフォームで動けること」。
他社ツールはどこかで連携が途切れてしまう(ツールの設計思想からもし致し方ない部分がある)のですが、HubSpotはMarketing HubとSales Hubが同一のコンタクトデータを共有して動くため、情報の断絶が起きにくい構造になっています。

導入支援には、HubSpotの認定ソリューションパートナーである株式会社グロースパイロットに依頼いただきました。
「自分たちで設定を触れる自信がなかったので、業種の理解がある支援会社に入ってもらえたのは大きかった」と桐島さんからは言っていただきました。

HubSpotでインサイドセールスの仕組みを再設計する

① リードの「温度」を可視化するスコアリング設計

最初に取り組んだのは、リードの質を数値で可視化するリードスコアリングの設定でした。
HubSpotのコンタクトスコアリング機能を使い、行動ベースのスコアを設計した。ウェビナーへの参加は+15点、価格ページの閲覧は+20点、資料請求は+30点。逆に、1ヶ月以上メールを開封していないコンタクトは−10点といった形でルールを整備しました。

スコアが一定の閾値を超えたコンタクトは、自動的にコンタクトプロパティの「MQLフラグ」が立つようにワークフローを設定。
インサイドセールス担当者はHubSpotのビュー機能で「今日アプローチすべきMQL」だけを一覧で確認できるようになりました。

さらに、スコアが低いリード向けには自動でナーチャリングメールが配信される仕組みも整えました。
「今すぐではないけれど、半年後に検討する企業」に対して、定期的にコンテンツを届け続けることで、リードに対して適切なアプローチを続けられるよう設計しました。

② シーケンスで「追う営業」から「設計した営業」へ

インサイドセールスチームがもっとも変化を実感したのが、Sales Hubのシーケンス機能の活用だ。それまでは担当者それぞれが「何日後に電話する」「メールを送るタイミングは?」を個人の感覚で決めていました。

シーケンスを導入してからは、MQLに到達したコンタクトには「登録から3日以内に最初のメール送信→2日後にLinkedIn確認の電話→5日後にフォローメール→10日後に再架電」という標準プロセスを設計した。シーケンスにコンタクトを登録するだけで、このステップが自動的に展開されます。

また、各コンタクトのアクティビティはタイムライン形式でコンタクトレコードに記録されるため、チームメンバー全員がアプローチ状況をリアルタイムで確認できる。重複フォローや誰も追っていないリードが発生しなくなりました。

商談化の見込みが生まれたコンタクトは、HubSpotの「取引」に紐づけてフィールドセールスに引き渡し取引のパイプラインステージは「IS接触中」「デモ打診済み」「商談確定」の3段階で設計し、どのフェーズに何件あるかがダッシュボードで一目でわかるようにしました。

③ 「感覚」から「データ」での意思決定へ

HubSpotのレポートダッシュボードを活用し、マーケティングと営業が毎週共通の数字を確認する文化を作った。見るべき指標は「リード獲得数」「MQL数」「商談化率」「シーケンス開封率」の4つに絞り込み、シンプルにしました。

以前はマーケから見ると”渡したリードはどうなった?”という状況で、お互いがブラックボックスだったものが、今はダッシュボードを開けば同じデータが見えるようになりました。
先週のウェビナー参加者のうち何人がMQLになって、そのうち何人に架電できたか、全部わかるようになりました。

3ヶ月で商談化率が2.3倍に

導入から3ヶ月後、数字は明確に変わり始めました。

月間のMQL数は導入前と比べて変わらなかったものの、商談化率が1.8%から4.1%へと2.3倍に改善。
スコアリングによって「温度の高いリード」に優先的にリソースを集中できるようになった成果です。
インサイドセールス担当者一人あたりの架電数は週平均で15%減ったにもかかわらず、商談設定件数は増えるという理想的な効率化が実現した。

また、ナーチャリングの仕組みによって「一度は断られたリード」からの商談も生まれ始めた。「6ヶ月前にウェビナーに来ていたけど、その後ずっとメールを開いていなかった企業から突然”今すぐ話したい”という問い合わせが来た」というケースが、月に2〜3件出るようになりました。

定性的な変化として桐島さんから一番評価いただいたのは「マーケと営業のコミュニケーション」の変容です。

以前は月1回のミーティングでお互いに言い訳を言い合う場になりがちだったが、今はダッシュボードを見ながら
・このウェビナーテーマはMQL化率が高い
・このシーケンスの3通目の開封率が低い、文面を変えよう
などと具体的な改善の議論ができるようになったそうです。

インサイドセールスの成否は「仕組み」で決まる

この会社の事例は、インサイドセールスの課題の本質は「人が足りない」ことではなく「仕組みがない」ことだという点です。
リードスコアリングで優先順位をつけ、シーケンスで接触プロセスを標準化し、取引で進捗を可視化する。この三つが噛み合って初めて、インサイドセールスは機能します。

HubSpotが優れているのは、Marketing HubとSales Hubが一つのコンタクトデータの上で動くため、マーケと営業の間に情報の断絶が生まれにくい点です。
「渡したリードがどうなったかわからない」という悩みは、ツールの設計で解決できる問題です。

もし現在、リードは獲得できているのに商談化率が伸び悩んでいるとしたら、それはマーケと営業の間のどこかに課題があるはずです。

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