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スプレッドシート管理の限界を迎えた日|SaaS企業がHubSpotを導入し、マーケと営業の連携力が上がった話

HubSpot

「このリード、どこから来たんだっけ」

田中さんは、毎週月曜の営業会議のたびに同じ問いを繰り返していました。
「このリード、どこから来たんだっけ」

田中さんはクラウド型プロジェクト管理ツールを提供するSaaS企業(社員数40名)の営業部長です。
マーケティング担当の村上さんが毎月せっせとウェビナーを企画し、Web広告を運用し、ホワイトペーパーをダウンロードしてもらう。
リードは確かに集まってきているがそのリードが最終的に受注につながっているのかどうか、田中さんには見えていませんでした。

村上さんも同じ悩みを抱えていました。
「広告費をかけて獲得したリードが、営業サイドでどう扱われているか分からない。追いかけてもらえているのか、放置されているのか、そもそも連絡がいったのかすら把握できない」と。

マーケと営業が別々のスプレッドシートで日々活動している。それが問題の根っこでした。

スプレッドシート管理の限界

この企業様では、リードをGoogleスプレッドシートで管理していました。
マーケが獲得したリードをシートに入力し、営業がそれを見て連絡をとる。
シンプルな仕組みのはずでした。

しかし現実はそう単純ではありませんでした。

例えば、マーケの村上さんがウェビナー参加者リストをシートに追記する。
営業の担当者がそれを見てステータスを「対応中」に変える。
でも村上さんが翌日確認すると、ステータスが更新されていないリードが10件以上残っている。「対応中」と書いてあるのに、実際にはメールすら送っていない担当者もいる。

シートの行が増えるほど、管理は煩雑になっていきました。
フィルタをかけても見たい情報が出てこない。
誰がいつ何をしたか、履歴が追えない。
担当者が変わったリードは、前任者が何を話したかまったく分からない状態で引き継がれていく。

月次のマーケレポートを作るとき、村上さんは毎回3〜4時間かけてシートを集計していました。「今月のウェビナーからのリードのうち、商談になったのは何件か」という問いに答えるだけで半日仕事です。
しかも数字に自信がない。入力漏れがあるかもしれないからです。

田中さんの営業チームも同様でした。
各担当者がそれぞれの手元で案件メモを管理しているため、チームとしての進捗が見えない。月末に締め数字を追う段になって初めて「あの案件忘れてた」と気づく、という事態が繰り返されていました。

転機:CRMの導入を決断する

状況が変わったのは、ある営業会議でのことです。四半期のレビューを行っていた席で、代表の橋本さんが一枚のスライドを見せました。

「うちは今、マーケが獲得したリードの約30%しか、きちんとフォローできていない」

村上さんが必死に集計した数字でした。
ウェビナー参加者、資料ダウンロード者、問い合わせフォーム送信者含め、これだけのリードがあるのに、営業のアクションが記録として残っているのは3割だけ。残りは「対応した気がする」「連絡したかもしれない」のグレーゾーンにある。

「これは仕組みの問題だ」と橋本さんは言いました。ツールを変えようと。

この企業様が選んだのはHubSpotでした。
決め手は大きく3つ
・今後の事業成長に伴った拡張やその構築が容易であること
・マーケ/営業以外のオペレーションを変えずに効果を最大化できること
・投資対効果としてイメージがしやすかったこと

最も大きかったのは「マーケと営業が同じデータベースの上で動ける」という点でした。
マーケのリード獲得から営業のクロージングまで、一つのプラットフォームで完結する。
それが他のツールにはない強みだと、橋本さんは判断しました。

Marketing Hubの実装:リードの「見える化」から始める

導入にあたって、まずMarketing Hubの整備から着手しました。支援を依頼したのは、HubSpotの認定ソリューションパートナーグロースパイロットです。

最初に行ったのは、コンタクトプロパティの設計でした。
これまでスプレッドシートに入力されていたリードの属性情報(業種、従業員規模、役職、流入経路)を整理し、HubSpotのコンタクトプロパティとして設定していきました。
「どの情報を持っておけば、営業が商談を進めやすいか」を営業側のメンバーも交えて議論しながら設計しました。

次に、リードの流入経路ごとにフォームを整備しました。
ウェビナー申し込みフォーム、資料ダウンロードフォーム、問い合わせフォームなど、それぞれHubSpotのフォームに統一することで、送信されたデータが自動でコンタクトとしてHubSpotに登録されるようになりました。
村上さんが手作業でスプレッドシートシートに転記する作業は、この時点でほぼゼロになりました。
加えて、営業の田中さんもコンタクト情報を見るだけで流入経路や自社HPの何をよく見ていたのか?から課題仮説も持ったファーストコンタクトがとれるようになりました。

ウェビナー後のフォローメールも、ワークフローで自動化しました。
参加者には翌日に資料と御礼メール、未参加者(申し込んだが当日来なかった人)には別の内容のメールが自動送信されるように設定。
更に、メールを開封した人、資料のリンクをクリックした人には、エンゲージメントスコアが加算される仕組みも構築しました。

村上さんが「この人、ちょっと温度感が高そう」と感じていた直感が、数字として可視化されるようになったのです。

Sales Hubの実装:営業活動を「記録」から「戦略」に変える

Marketing Hubで温度感の高いリードが可視化されると、次は営業側の動きを整備する番です。ここではSales Hubを中心に設計を進めました。

まず、取引のパイプラインを整理しました。
この企業様の営業プロセスに合わせ、
「アポイント取得済」「ヒアリング済」「提案中」「提案済」「クロージング」「受注/失注」というステージを定義。
営業担当者が取引のステージを更新するだけで、案件の進捗がリアルタイムで全員に見えるようになりました。

シーケンスという機能も活用しました。
例えば、営業が追いかけたいが連絡が取れなくなったコンタクトには、担当営業が3〜5通のステップメールを設定したシーケンスを送ります。
個別に文面を考えてゼロから送る手間が大幅に減り、しかも開封・クリックの状況がすべてHubSpot上で確認できます。

「返事が来ない」と思って電話したら、実はメールを読んでいなかっただけだったりすることも分かり、お客様とのミスコミュニケーションも減りました。

コール機能(HubSpotへの通話記録)と活動ログも積極的に使うよう営業チームに徹底しました。
電話した、メールした、打ち合わせした、というこれらの活動がすべてコンタクトのタイムラインに記録されるため、引き継ぎや上長確認のコストが劇的に下がりました。

データがつながった先に見えてきたもの

HubSpotの上でデータが蓄積されるようになって、村上さんと田中さんが最初に驚いたのはレポートの精度でした。

以前は3〜4時間かけて集計していた月次レポートが、HubSpotのレポートダッシュボードを開くだけで既に完成されたものが表示されています。
・ウェビナー経由のリードの商談化率
・広告チャネル別の受注件数
・平均クロージング日数

これらがリアルタイムで確認でき、そして何より、マーケと営業の会話が変わりました。

「来月のウェビナーのテーマ、何にする?」という議論が、以前はなんとなくの肌感で決まっていました。
今は「前回の製品デモ系ウェビナーは商談化率が高かった。今月は同じ系統でもう一本やろう」という、データに基づいた意思決定ができるようになっています。

営業の田中さんも、以前は「もっとリードを増やしてほしい」とマーケに要求するだけでしたが、今は「このチャネルで来るリードは質が高いから、ここに予算を集中してほしい」という具体的なフィードバックができるようになりました。

マーケと営業が同じデータを見て、同じ言語で話せるようになった。それがこの企業様にとって、HubSpot導入で得た最大の変化でした。

まとめ

この企業様のケースで学べることは、ツールの機能の話だけではありません。

スプレッドシートが悪いわけではありませんでした。
問題は、マーケと営業がそれぞれ別々のデータで動いていたことです。HubSpotを導入したことで解決したのは「ツールの使い勝手」ではなく、「データのつながり」でした。

マーケが獲得したリードが、そのままの文脈で営業に引き継がれる。
営業の活動結果がマーケにフィードバックされる。
そのループが回り始めたとき、組織としての営業力は大きく変わります。

SaaS企業に限らず、マーケと営業の分断に悩むIT企業は少なくありません。「うちもこういう状態かもしれない」と感じた方は、まず自社のデータの流れを整理することから始めてみてください。

株式会社グロースパイロットは、HubSpotの認定ソリューションパートナーとして、マーケティング・営業・カスタマーサクセスの一気通貫した支援を行っています。
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